今日のといず・くろすおーばーは!
「W」の時にやった開発史妄想補完
のフォーゼ版です。
MOVIE大戦アルティメイタム
でコズミックエナジーと魔力が意外と近いものらしいことが示唆されたことからウィザード終わるまで待ってたらタイミングを逸しまくった気がする……その上MOVIE大合戦
で「ヘルヘイムの森の実が魔力を含有している」って説まで出て来ちゃってもう(笑)
ともあれ、超全集の記述を元に関係性が高いであろう事柄をこじつけて風呂敷広げてますので、ご了承ください。
あと、オーズやウィザードは劇中なり小説版なりでだいたいの背景が描かれているのであんまり補完する要素がないんですよね……
○プレゼンターとコズミックエナジー
コズミックエナジー。それは宇宙に満ちて対流する神秘のエネルギー粒子である。粒子と波の性質を併せ持ち、電気信号に敏感に反応してその振る舞いを他の物質、あるいは可視光線を含む電磁波に“擬態”するため通常の観測手段では把握が難しく、かつ粒子自身が変容の履歴を記憶する――この性質に目を付けた宇宙知性体プレゼンターは、他の知性体を調査するために宇宙にコアスイッチを拡散した。
コアスイッチはそれ自体がコズミックエナジーによって形成されたスイッチ状の物体で、接触した他の知性体に擬態したコアチャイルドとして成長し、やがて学習したデータをプレゼンターの元に持ち帰る使命を持つ(※)。
また、プレゼンターが当該知性体自身の来訪を期待していたこともあり、コアチャイルドの帰還手段は「コアスイッチを理解し、プレゼンターの呼び声を聞いた当該知性体に、コズミックエナジーを利用した移動装置を建造させる」、という形が採られることとなった。
我望光明は、そんなプレゼンターからの「呼び声」を聞いた一人である。
1969年7月16日、アポロ11号の打ち上げがなされ、地球人類の意識がこれ以上なく宇宙へと向いたその日、我望光明はプレゼンターの声を聞き、自ら会いに行く決意を固めることとなる。
元々才能に恵まれていた彼は、宇宙飛行士として宇宙技術開発機構OSTOに所属。「呼び声」を受けたことで「プレゼンターが実在する」という明確な確信を得たこともあり、迷いなく能力を伸ばしたことで他者よりも明確な宇宙認識を有するに至った我望は、同じ視点を共有できる人間がいないことに半ば絶望を覚えていたが、1992年の月面探査にてコアスイッチを発見し、プレゼンターとコズミックエナジーの実在をついに証明した。
この大発見はOSTOを大きく揺るがし、運営方針を「プレゼンターとの接触」と「コズミックエナジーの研究応用」に傾倒させていくこととなる。
※……なお、何らかの惑星に到達しながらもコアチャイルドがそのまま永住して独自の生態系を築いてしまったケースも存在する。
SOLU(Seeds Of Life from the Universe)と呼ばれる生命種はコズミックエナジーを内包しさまざまな器物・生物への擬態能力を持ち、コズミックエナジーの流れに沿って“渡り”を行い、実用可能なアストロスイッチを作り出す能力性質があることから、液状生命体の惑星に流れ着いたコアチャイルドの末裔が遺伝した本能に基づき活動しているものとも推測される。
○OSTO再編と二大プロジェクト
宇宙開発を目的とした国際組織であるOSTOはコアスイッチの発見とコズミックエナジーの確認を受け、大幅な組織再編を行った。米・ロの二大国に加え我望を擁する日本を中心としてプロジェクトは進行し、新たにパワードスーツ技術に定評のあるアリシア連邦が加盟した。
(なお、ロシアはプレゼンター接触計画よりもコズミックエナジー研究に積極的であり、極秘裏での軍事利用を目論んでいたフシがある)
コアスイッチ解析チームは、コアスイッチの発見者である我望光明・歌星緑郎・江本州輝および生体研究者である番場影人を中心に結成され、内包されたテクノロジーとコズミックエナジーを研究した結果、宇宙に満ちたエネルギー量は従来の宇宙物理学の定説を覆すほど膨大であり、空間跳躍航法――ワープドライブの実現が可能であることを突きとめた。
そこでプレゼンター接触のためワープドライブを軸とした二つのプロジェクトが発案される。
ゾディアーツ計画と、フォーゼ計画である。
○コズミックエナジーとゾディアーツ
古来より人類は宇宙を見上げ、星の運行に想いを馳せ、時に自らの運命を託し占ってきた。そうした幾億、幾世代もの人々のイメージは、宇宙から地球に降り注ぐコズミックエナジーの波長にも影響を与え、88星座に合わせた形に分化させていた(※1)。
このコズミックエナジーを人体に直接作用させ、マテリアライズ効果を利用して強制的に分解・再構成し強化人間を作り出す――それが我望の提唱したゾディアーツ理論だった。
宇宙から降り注ぐ88種類のコズミックエナジーは、近しい精神波長(これを我望は「星の運命」と呼称した)を持つ人間(スイッチャー)を対応する星座伝承を反映させた超人・ゾディアーツへと変化させる(※2)。
最初はスイッチャーがゾディアーツスイッチを押すことで直接ゾディアーツに変身するが、やがてゾディアーツスイッチに蓄積されたコズミックエナジーがスイッチャーの精神波長に影響を与え、自我を増幅されたスイッチャーの精神波長がコズミックエナジーの励起を促す、と言った形でフィードバックを繰り返し、やがてスイッチャーの精神体と単独で物質化するほどに増幅されたコズミックエナジーが結びつき、本来の肉体を捨て去る「ラストワン」へと至ることとなる。
そして、この段階からスイッチャーの精神波長が最適化されていくことで本来の肉体を再吸収、さらなる進化を遂げた者が、12星座の使徒――ホロスコープスとなる。
88星座の中でも黄道十二宮に数えられる12星座は、占星術の中核として用いられ、民間の簡単な占いなどで広く浸透している。そのメジャー性はそのまま地球に降り注ぐコズミックエナジーの流れと誕生するゾディアーツにも影響を与えており、黄道十二宮のコズミックエナジーを受けたホロスコープスと呼ばれるゾディアーツは、他のゾディアーツとは一線を画する潜在能力とエネルギー量を持つこととなる。
我望の目的は、ホロスコープスを生み出すに至るまで進化を遂げたゾディアーツスイッチ(ホロスコープススイッチ)を12個揃えて莫大な量のコズミックエナジーを操作し、一度でプレゼンターまで到達する強力なワープゲートを開き、ゾディアーツとなった自身がゲートを潜ることで直接プレゼンターと接触することにあった(※3)。
しかし、この案にはゾディアーツ化するスイッチャーの身体への影響が危険視され、またワープゲートも範囲にして日本列島を飲み込むほどの大規模なものとなる、と試算されたことから却下され、プレゼンターとの接触はフォーゼ計画優勢となっていく。
※1……コズミックエナジーの性質は古来から人々の経験則によって「大地に流れる力」として大まかに把握されており、東洋にて風水、陰陽道などの学問が発達する要因となった。
またこうした「力」への理解は世界各地で見られ、ニオール文明などでは科学と並ぶもう一つの学問としての「魔法」に行き着いている。また、コズミックエナジーが降り注ぐザ・ホールの直下にある天ノ川学園都市の住人は多量のコズミックエナジーを浴びて生活するため、特に多感な時期にある思春期の少年少女の中には、ゾディアーツとは別種の超能力を身に付ける者も見られた。
※2……もちろん、全て時代の全ての人間が星座にのみ意識を向けていたわけではなく、実際のコズミックエナジーの波長の種類もさらに多岐に渡る。地球上に分布の濃淡こそあれ降り注ぎ流動したコズミックエナジーは、様々な伝承や土着信仰と結びつき、やはり近しい精神波長を持つ人間と結びつきやすくなっている。こうしてコズミックエナジーを蓄積させた人間は、絶望という精神的な動きによって爆発的に励起したコズミックエナジーの力で死と引き換えのマテリアライズを引き起こしてしまうことがある。
※3……財団Xではこの現象を制御して超能力兵士を生み出す計画が進められていた時期があった。OSTOから離脱して財団Xに関連技術を持ち込んだ番場影人は、後に独自に超能力兵士の育成と売買ルートの開拓を進めていく。
○フォーゼ計画とXV級宇宙母艦
対して歌星博士が提唱したフォーゼ計画は、ワープゲートを強化された宇宙飛行士が潜り抜ける、という点こそゾディアーツ計画と共通していたが、より安全性を重視した物だった。
次世代宇宙服をベースに、コアスイッチを元に作り上げた40個ワンセットの「アストロスイッチ」を搭載したフォーゼは、ワープドライブを比較的短距離で連続発動することで、プレゼンターに繋がるルートの途中にある惑星を前線基地として開発し、これを経由して目的地に到達する、という発想のもと設計された。
ゾディアーツ計画とは異なりフォーゼ計画は複数人による長期間航行を前提としており、ワープドライブの発動と惑星開拓の主力を担うフォーゼと、そのサポートスタッフを乗せたXV級宇宙母艦、数世代に渡る計画に乗組員のパートナーとして継続して携わる宇宙鉄人の三位一体で構成される、という物だった。
40のスイッチの力を集約運用するコズミックステイツとなったフォーゼが、XV級母艦から供給されるコズミックエナジーを受けてワープドライブを発動し、近傍の居住可能な惑星、あるいはその衛星へと到達。
その後、ステイツチェンジスイッチを有するフォーゼが率いる三人一組のフォーゼ小隊を三チーム運用し、コズミックエナジーをマテリアライズすることで駆動状態となる各種ツールを用い、マスドライバー機能を追加されたアリシア連邦試作汎用パワードスーツ・パワーダイザーや宇宙鉄人のサポートを受けて中継基地を建設。充分な補給拠点を確保した後にワープドライブで次の惑星を目指す……
こうしたサイクルで徐々にプレゼンターの居星へと接近していく、というフォーゼ計画は、制御システムであるフォーゼドライバーを複数基製造する必要があることから、完成、そしてプレゼンターとの接触までに長期間を要するものであった。
しかし、パワードスーツ製造のノウハウに精通したアリシア連邦の協力を取り付けたこともあり、計画はOSTO本部に承認されることとなる。
圧倒的な個人アビリティを持つ孤高の天才・我望とは異なり、歌星が人と人の絆を重んじ信頼関係を構築していくタイプであったことが、計画の明暗を分けたと言えるだろう。
○絆とコズミックエナジーと宇宙鉄人
歌星博士が「絆」の力を重んじたのは、精神論にのみ則った物ではない。
絆、すなわちそれは異なる価値観を持つ複数の人間が出会い、互いの意見を戦わせ、理解し、調整し、同じ目標に向かって邁進していく精神の働きである、と言えるだろう。
先述の通り、コズミックエナジーは知的生命体の頭脳の働きが発する電気信号により、その振る舞いを変えて行く性質がある。歌星はこの絆の構築と維持のプロセスが、大量のコズミックエナジーを制御するための重要なファクターである、と推測したのだ。
そのために、コズミックスイッチもまた「絆」によりセーフティが解除されるよう設計している。
またこの発想はアリシア連邦のブリンク博士の元にも届いていた。
博士はかつて地球を守ったという「サイバロイド・キョーダイン」を模した宇宙鉄人を建造し、歌星の設計思想と合致するよう、仲間を尊重し思いやる「絆」プログラムを入力、セーブモードと兼用して人間への擬態機能を搭載することで乗組員と円滑なコミュニケーションをとり、強大な出力を発揮できるよう設計したのだ。
また、ブリンク博士は建造が開始されたXV級母艦の設計にも携わっており、こちらにも人工頭脳ブレインを搭載する予定だったが、巨艦の制御システムとの両立に時間がかかり、一番艦建造よりも進捗が遅れていた。そして……
○月面基地崩壊
単独での最短ルートをひた走る我望と、多数の協力を取り付け長期的な計画を展開する歌星の対立は決定的なものとなった。
高い能力とカリスマ性を持つため信奉者こそ寄って来たものの真の意味で同格の友人を得られずにいた我望にとって、歌星は一目置くに足る初めての男と言えた。それだけに、自分自身がプレゼンターと接触できないフォーゼ計画がこれ以上進行することを認められず、独自に計画を進めることを決意したのだ。
1994年。いち早く転移能力を持つヴァルゴ・ゾディアーツとして覚醒していた江本に命じ、月面基地の破壊と歌星の暗殺、コズミックエナジーと各種スイッチに関するデータの奪取を命じた我望は、関東地方のザ・ホール直下に天ノ川学園を設立するべく準備に着手する。
月面基地の破壊は爆発事故として処理され、コズミックエナジー研究の足掛かりを失ったOSTOは解散し、残された設備や人員は各国の宇宙機関に吸収されることとなった。
しかし、良心の呵責から月面基地跡地に舞い戻った江本は、そこに賢吾と名付けられたコアチャイルドと、コアチャイルドをプレゼンターの元へ送還するシステムを組み込まれたフォーゼドライバーの再設計データを発見する。
暗殺事件の前日、コアスイッチがコアチャイルドの形を取ったのを目撃した歌星は、コアスイッチが何のためにもたらされた物かを悟ったのだ。
江本は賢吾を歌星の遺児という名目で引き取り彼の親類に預け、自らは我望の陰で野望を止めるための計画を進めて行くこととなる……
OSTO解散に伴い、ブリンク博士のプロジェクトチームも本国に帰還することとなった。
建造途上にあったXV級一番艦・XVⅠのパーツはブリンク博士と組んで設計に当たっていたとある科学者(資料にはドクターUとある)に払い下げられ、アリシア連邦はブリンク博士に改めて、軍事利用を前提としたXV級二番艦・衛星兵器XVⅡおよび、純戦闘用宇宙鉄人ブラックナイト(これもまたサイバロイド・キョーダインの目撃データに記録されていた個体をモチーフとしている)の建造を命じた。
ただ、ブリンク博士は宇宙鉄人やXV級の軍事転用には否定的であったため、XVⅡにはXVⅠに組み込まれる予定だった平和を重んじる人工頭脳ブレインを搭載している。
しかし、起動実験の日に悲劇は起きた。
コズミックエナジーの流入を受けた宇宙鉄人のうちキョーダインに属する二体、グランダインとスカイダインが暴走し、ブリンク博士を殺害したのだ。
ブリンク博士は今際の際にXVⅡの安全装置を起動させ二体を強制的にセーブモードへとシフトし、娘のインガの前で帰らぬ人となった。
何故この二体のみが暴走を起こしたのか。それは皮肉にも「絆」プログラムによるものだったと考えられる。
コズミックエナジーが流入したことで起動した宇宙鉄人は、当初の建造目的に沿って、“お互いを至上の存在と見なしながら”人類の宇宙進出について高速で学習とシミュレーションを行った。その結果、自分たちを軍事利用しようとする人類を“愚か”であると断じ、宇宙鉄人による支配が最終目的への最短ルートであると結論付けたのだ(そのため、後発のブラックナイトは人類に反逆するような思考に至ることはなかった)。
セーブモードとなった二体は本来の力を発揮すべく、OSTO解散で宙に浮いた資材・設備を駆使して機能維持と情報収集を図っていくこととなる。
○財団Xとの接触と天ノ川学園
OSTOの後ろ盾を失った我望が求めたのは、資金力とホロスコープスとなるべき人材の確保だった。
我望はゾディアーツスイッチを育てるためには多量のフラストレーションが必要であると考え、2002年に自らのコネクションを駆使した「宇宙時代を生きる若者たちのための学び舎」、天ノ川学園高校をザ・ホールの直下に設け、その周辺を学園都市化していくと同時に、ボディガードとして立神吼を、校長として速水公平を見出し接触した。高い素質を持ちながらそれを活かす環境に出会えずにいた二人は、自分を認め運命を定めた我望に心酔し、ホロスコープス入りを果たす。
我望にとって幸運なことに、資金提供元に関しても心当たりはあった。OSTO時代、宇宙開発よりも人体強化にのめり込んで袂を分かったかつての同志、番場影人の足取りを追ううちに、彼が研究成果と引き換えに強化兵士開発に出資する巨大企業・財団Xと接触していたことを突きとめていたのだ。
番場は財団が関与する超能力兵士育成機関ビレッジに一時的に参加した後に再び行方をくらましており、ゾディアーツに関するデータを殆ど財団に提供していなかった。
ここに我望がゾディアーツのデータを売り込むことで、莫大な資金を得ることに成功したのだ。
なお、財団Xは我望に対しゾディアーツの研究開発資金を提供し見返りにデータを受け取る、という形式を取っていたが、実際は我望は既にゾディアーツスイッチの可能性をとうに見極めており、提供すべきデータを小出しにしていたようである。
我望らは大気中の12星座に対応するコズミックエナジーを解析することで未覚醒のホロスコープスのダミーすらも生み出すことができており(潜在能力である超新星などを実装していない劣化コピーに等しいものではあるが)、ピスケス・ゾディアーツの特異な覚醒条件なども早い段階で把握できていたのだ。
それゆえに、江本は我望が将来的に覚醒するであろうサジタリウス・ゾディアーツの特質も早い段階で把握していたのである。
○江本の暗躍
12のホロスコープススイッチを揃えてワープゲート“ダークネビュラ”を開く際、サジタリウス・ゾディアーツは全ての攻撃力を失う。
江本はそれこそが我望を止める最初で最後のチャンスであると見なし、あえて側近の一人としてホロスコープス発掘に尽力する傍ら、成長した賢吾にフォーゼシステムとラビットハッチを託すための準備を進め、戦力を増強すべくある人工衛星に目を付けた。
それはロシアがOSTOで得たデータを秘密裏に流用して建造した、太陽光発電・コズミックエナジー変換衛星だった。
コズミックエナジーはそれ自体が強力な粒子ビームの媒質となるだけではなく、特定信号に変換したプログラムを作用させることでエナジーの供給が続く限りかなりの精密機器であってもマテリアライズ可能である、という夢のエネルギー物質である。
このコズミックエナジーを自由に生産供給することができれば、その利用価値は計り知れない。国際社会におけるイニシアチブを握るべく、ロシアは密かに研究を進めていたのだが、OSTO月面基地の爆発事故によりコズミックエナジーの安全性が疑問視され、プロジェクトからの撤退が決定されたのだ。
人工衛星は機密保持のために破棄されることが決定したが、江本はこれをヴァルゴの転移能力で奪取し、月面基地跡から持ち出した機材の一部を持ち込んで改装を施し、フォーゼシステムを参考にした強化スーツ・サポートビークルの開発に着手した。
これが後にM-BUSとメテオシステムという形で完成することとなる。
歌星博士を実父であると信じて成長したコアチャイルド=賢吾は、歌星博士の遺志を継ぐべく天ノ川学園高校に入学する。
江本は匿名の支援者となって彼にゲートスイッチを送り、フォーゼシステムの完成と対ゾディアーツ戦を託したが、コアチャイルドとしての不完全な覚醒が祟り、賢吾は体こそ鍛えていたものの長時間戦えず、装着者にコズミックエナジーの受容力を要求するフォーゼシステムに適合しないという弱点があった。
賢吾と秘密を共有する城島ユウキも、フォーゼの支援メカであるフードロイドのデザインやデータ処理に意外なほど高い適性を示したものの戦闘要員としては頼りなく、二人とも我望が画策した天ノ川学園高校のスクールカーストの中では体育会系の友人に助けを求めることも出来ない状態が続いていた。
メテオシステムの装着者選定を速めて投入すべきか。焦りを表に出すことなく江本が状況の推移を見守る中、賢吾の学園生活が折り返しを迎えた2011年9月、一人の転校生がやってくる。
その名を、如月弦太朗と言った。
祖父について全国を回り行く先々で友達を作ってきたという底抜けに明朗な少年は、シンプルな正義感を以って学園で暗躍するゾディアーツとの戦いを開始する。若年ゆえの未熟さも多く抱えた彼ではあったが、友を受け入れようとする包容力は、フォーゼシステムが装着者のコズミックエナジー受容力に依存する性質、コズミックエナジーの知的生命体の精神活動に左右される性質と結びつき、アストロスイッチの潜在能力を引き出すことに繋がった。
仮面ライダーの都市伝説を知った彼はラビットハッチに「仮面ライダー部」を創設。既存のスクールカーストをものともせずに友達の輪を広げて行くことで、指揮官、パワーダイザーパイロット、情報担当といった人員を充実させ、結果的に賢吾がスイッチの調整と助言に専念できる体制を築き上げて行く。
○MEGAMAX事件の裏側で
弦太朗が転入した2011年度の天高祭において、仮面ライダー部は地球に飛来したSOLUの一個体と接触する。
SOLUと未来のコアメダルの力を用いて財団Xの思惑を超えた世界征服を成し遂げようとするレム・カンナギと、カンナギの野望を挫かんとする仮面ライダーたちの戦いは熾烈を極め、最終的には仮面ライダーの勝利に終わった。
この時の戦いにおいて逃げのびたカンナギ一派の一部は起動を果たしたメテオが掃討したが、残りは財団に復帰することもできず路頭に迷うばかりかと思われた。
しかし、そんな彼らに接触する者がいた。
セーブモードのまま人間社会に潜伏していた宇宙鉄人キョーダインである。
月面基地爆発事故において行方不明となっていたOSTO研究員の戸籍を入手した彼らは財団Xカンナギ派残党を抱き込み、カンナギが確保していた施設を確保する。
彼らの目的はただひとつ、仮面ライダー部の情報を集め、彼らの戦闘力を利用してXVⅡの制御装置を破壊することにあった。
○機械生命体の挑戦
OSTOの後継組織、OSTO Legacyを名乗り仮面ライダー部に接触したキョーダインは、ブリンク博士の遺児インガ・ブリンクの妨害を受けながらも仮面ライダー部を即席の戦闘要員として仕上げてXVⅡに突入、自分たちの力を取り戻すことに成功する。
しかし「人類を見下し、友情を利用して善意のXVⅡを傷つけさせる」というキョーダインの行為が弦太朗の逆鱗に触れ、人類への攻撃を阻止されてしまう。
XVⅡの人工頭脳ブレインは弦太朗を支援すべく己のデータベース内にあったアストロスイッチ規格に基づき「フュージョンスイッチ」を設計し、フォーゼの勝利に貢献。戦闘終了後、XVⅡは仮面ライダー部の手で損傷個所を修復され、自らに託された人々の想いを果たすべく、コズミックエナジーの流れを辿りプレゼンターの元を目指すこととなった。
XVⅡは旅の途中でSOLU=擬態美咲撫子と出会い、如月弦太朗が共通の友人であることを互いに知ると、撫子の求めに応じて一時地球近傍まで引き返している。
○野望の終焉
ホロスコープススイッチが揃っていく中、我望は江本の裏切りを察知してこれを粛清し、野望を阻むコアチャイルド=賢吾の「破壊」を実行する。
しかし、日本列島を巻き添えにダークネビュラを開こうとした我望の計画は決定的な阻止を余儀なくされる。それは対等の視点で語れる友を持てずにいた我望に対し、多段式ロケットのように友の力を積み重ねて彼の力に追いついた如月弦太朗ら仮面ライダー部が勝利し、彼の支配から卒業したことを意味していた。
我望が用意した教育環境はホロスコープスを生み出すためのものではあったが、結果的に数多くの強くたくましき生徒たちを育むに至っていたことを悟り、我望は「約束」を後の世代に託す決心をする(※)。
急激な進化にさらされ肉体の限界を迎えていた我望は、支配する者として立つ以外の運命を受け入れたことでアクエリアスのホロスコープススイッチを発動し、賢吾を復活させると、プレゼンターと教え子たちの邂逅に想いを馳せてその生涯に幕を閉じた。
※……我望は自らが人類代表としてプレゼンターに接触することに執着しており、そのための人的・物的被害の一切を顧みない方針を採っていた。一方で自分の予想から外れた動きをする如月弦太朗を「我望を追う世代」として認めていると思しき言動を見せたこと、城島ユウキが自分と同じく「星の呼び声」を聞いたと知った時には彼女から分裂したジェミニ・ゾディアーツをパートナーとして迎え入れようとしていたこともあり、自分以外の人間もまたプレゼンターと接触することに関しては寛容だったことが窺える。
2017年。フォーゼ=如月弦太朗は新・天ノ川学園高校の教師として赴任し、超能力者である教え子・風田三郎の孤独を受け止めるためフォーゼドライバーを放棄。以降はイナズマンに覚醒した三郎を中心とした少年同盟による学園都市の守護を、仮面ライダー部顧問として、教師として支援していくこととなる。
しかしプレゼンターとの接触、コズミックエナジーの研究開発は人類が直面すべきテーマとして再浮上しており、それぞれ超国際宇宙ステーションや宇宙京都大学における公的プロジェクトとして進行している。そして、その中心には歌星賢吾と城島ユウキの姿があった。
人類がプレゼンターと接触すべく、無限の宇宙に旅立つ日は、そう遠くないのかも知れない……
というわけで、フォーゼシステム開発史でした!
フォーゼ・ゾディアーツ・天ノ川学園に関する前史はフォーゼ超全集に掲載されていたのですが、どうにも無関係とは考え難い宇宙鉄人関連やMOVIE大戦で描かれた後続作品との関連性も含めてさらに風呂敷は広げられるはずと考え、あれやこれや放映当時から考えていました(笑)
時期は逸しまくってますが、まあ形にできてよかったな、と自己満足しております。
……記事にする直接のきっかけが、年末年始を挟んだことで修理に出したバーニングフォームがまだ戻ってきてなくてレビュー出来ないことだった、というのはここだけの話で(苦笑)