見てまいりました劇場版「獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョOFミュージック」&「仮面ライダーウィザード IN MAGIC LAND」。
というわけで大幅バレありの感想レビューです。劇場版未見の方はご注意ください。
あと、どちらもクライマックスの展開とか首謀者の企みとかをパンフレットでバラしちゃっているので、未見の方はそちらも気を付けた方がいいでしょう。
獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョOFミュージック
ストーリーのアウトライン
1億年前に暴れ回り、巫女の力で鎮められた最初の獣電竜トバスピノと、恐竜の精神力を奪うために生まれた最初の戦騎・獰猛の戦騎D。
Dはカオスのデーボス獣電池の力でデスリュウジャーとなって復活し、巫女の末裔である美琴が受け継いだ「祈り歌」の力でトバスピノを操り、地上を壊滅させようとする。
果たして美琴の友人でもあるダイゴは、キョウリュウジャーはデスリュウジャーを倒し、囚われた美琴を助け出すことが出来るか!
とまあ、例年夏の戦隊映画は尺が短いのでストーリー的に複雑なことはやれないっていうのは大前提としてあり、その分アクションと爆発とCGで魅せるぜ!という方向に行くわけですが、キョウリュウジャーもその例にもれず……というか。
ぶっちゃけ例年以上にストーリー一本道で、結構途中経過とかすっ飛ばして「面白いとこだけかき集めてギュッと濃縮して出しました!」感が凄い映画でした。何と言うかダイジェスト一歩手前レベルなんですが、そこは勢いに定評のあるキョウリュウジャーと、ガンガンアクションさせる坂本監督、それだけでもうお腹いっぱいの代物に仕上がっているのが凄い。
冒頭の自称ノリのいい観客と、さらにノリのいいGロッソの観客たちでガッツリ掴んで後は引っ張って行くだけ、みたいな安定感。
今回の時系列
プレズオンの出番がエンディングのダンス以外にないのとデーボス軍の面々が基本的に健在なのとで、ブレイブ18~21の間のどこかと見るのが妥当でしょう。
デスリュウジャー
前述のように、デーボス軍で初めて誕生した獰猛の戦騎。恐竜を滅ぼす前、デーボスが眠りに就いてしまう前からこう言うのを生みだしている辺りに、「生命体から徴収した感情がデーボスの回復剤になる」という理論が早い段階で成立していることが窺えます。
恐竜や獣電竜の抵抗にあってデーボスが傷付き、獰猛の戦騎「D」の誕生で多少癒すことが出来たものの、超古代人巫女に結局Dは敗退。しかしこの時の実績を元に、デーボス封印後に喜怒哀楽の戦騎(+1)を生み出すことで対応を可能にした……ということでしょうか。
こう言った手を打つカオスがいかにデーボス軍を支えているかよく分かる話だ(笑)
なおヘルメットを取った「D」の素顔は額に恐竜っぽい顔が付いてるんですが、これは多分、喜怒哀レリーフと同じ意味合いのものでしょう。
CVは宮野真守氏。ウルトラマンゼロでガンダムダブルオーな氏のキャラが、今度は「00番の獣電池」にデーボス・インしているのは狙っているのか何なのか。
レムネア&アーシー
デスリュウジャーの両脇を固める女の子幹部!ということで坂本監督が全力推しして決定した(笑)デスリュウジャーの従者。レ“ムネ”アにアーシー(脚)ってことで本当にあの大明神は趣味をそのまんま仕事にしてるなぁ……いいぞもっとやってくださいお願いします(ぉ)
黒い方がアーシー、白い方がレムネアで、それぞれイアン、アミィと激しく激突!
なお、空蝉丸やノッさん、ソウジはそれぞれゾーリ魔やカンブリ魔相手に大暴れしていました。全員に「因縁の敵」が行きわたるわけじゃないのか……
あと、何気にフタバイン獣電池って劇場版限定みたいになりつつあるよね。
天野美琴
ダイゴが世界各地を旅していた頃、フランスで出会った女性。アイドル歌手Meekoとして大ブレイクし、東京Gロッソでコンサートを開くところからストーリーが始まる。
演じるは中村“タマちゃん”静香氏。強き竜の者と聞いていつドーザードラゴンが突っ込んでくるかと気が気ではなく(違)
キーアイテムは、ダイゴがフランスでプレゼントしたネックレス。坂本監督の「ネックレスだからしょうがないよね!僕全力出してもいいよね!」という魂の歌が聴こえてくるようだ(ぇ)
歌
今回のテーマとなるのが「歌」。しかし事前情報の「ミュージカル」と言うほどの量ではなく、主だったところは「美琴の歌と夢を取り戻す」ためにイアン・ノッさん・ソウジ・アミィが歌うシーンと、「美琴の祈り歌の後押しをして超破滅光弾を撃ち破る」シーンの二ヶ所。
歌って踊って芝居を進行する、という事はなかったわけですが、考えてみれば「主題歌をバックに戦う」っていうヒーロー番組の様式美もある意味でミュージカル的ではあるのか。
獣電竜トバスピノ
デスリュウジャーにより美琴が狙われ、その祈り歌の力で復活した0番獣電竜。今回は「悪の力にゆがめられた祈り歌の力」のせいで獣電竜のパワーがダウンしており、デーボス獣電池で起動したトバスピノ以外は全力を出し切れない状態。
なので、最近のオープニングで描かれているトバスピノ無双にはそれなりの事情があり、試作機ゆえのハイパワーとかいった事情は特になかったようです。
ただいささか暴れん坊が過ぎたようで、超古代人の巫女が祈り歌で鎮めるまでは手がつけられない状態だった様子。今回事件が終わった後、浄化された獣電池は美琴のお守りとなりトバスピノは元気に眠りに就いたのでした。
……まさかクリスマスにキョウリュウアズール(紺色)来ちゃう!?
ほら、中村静香氏はレスキューファイアーのタマちゃんだったんだしこの辺のハードルは意外と低いんじゃ!?
ここは是非とも坂本監督に頑張っていただきたい。
なお、「悪の祈り歌」の影響を抑えるため、空蝉丸の指示でプテラゴードンがゴーグルを下ろすシーンがあり、デーボスインしなくなったことで描かれなくなったギミックが再登場したのも嬉しいところ。
「シャットゴーグル」ってフラッシュマンの単語(意識はしているはず)が出てきたのは三条さんと坂本監督のどっちの趣味なんだろう。
あと、追加戦士としては異例なほど早く参戦している空蝉丸だけど、結局映画での出番は少なめというか序盤別行動しているいつもの戦隊映画パターンなのはちょっと残念。
獣電巨人スピノダイオー
デスリュウジャーに操られたトバスピノが、挑んできたアンキドンとブンパッキーに噛みついて操り強制カミツキ合体。この能力はむしろデスリュウジャー由来のもののようで、TV本編に登場する際は多分ノーマルにカミツキ合体するはず。
キョウリュウジンカンフー同様に両腕のリーチが長い上にブーメランを投げてきたりするので、ライデンキョウリュウジンにも一歩も退かない戦いぶりが魅力です。
キョウリュウジン・プテライデンオーウェスタン・スピノダイオー・プレズオー・ブラギガスの獣電巨人……で腕が余ることなく獣電巨人を並び立たせることができるので、是非ともTVでも出て来てほしいところです。
ガブルアームドオン
恐らくは劇場版オリジナルとなるキョウリュウレッドの強化形態。ここに至るまでにまず「ダイゴが所持していたガブティラ獣電池がどれもエネルギー切れになる」という前振りが描かれ、そこに美琴の歌が注がれることで強化獣電池となる、という過程を踏んでいるところは注目ポイントかも。
というか最近電池切れピンチを見ない……というか、一戦闘でそれほど獣電池を消費していないというべきか。それだけ最近は戦い慣れしており、デスリュウジャーは強敵だったということですね。
最終的に
美琴はダイゴのことが好きで告白までしたんだけどダイゴがまさかの難聴主人公っぷりを発揮するという(笑) おい返事どうすんだこれ!
美琴、アミィ、弥生、ガブティラとダイゴハーレムができつつあるな……これで「何でキングばかりがモテるんだか」と一歩引いたところで呆れているイアンは、ジェットマンで例えると凱じゃなくてアコだと思う。
あと、ソウジ君にだけは色々言われたくないと思うよ!
そしてエンディングで一緒に踊るウィザードチーム。キョウリュウジャーと一緒にいると人数ごっちゃりしていて最初気付きにくかったのは内緒(笑)
仮面ライダーウィザード IN MAGIC LAND
塗り替わる世界
冒頭、仮面ライダーソーサラーがコヨミを攫い、彼女を触媒としてクリエイトの魔法を使用。虹色の竜巻が光を撒き散らし、助けに来た晴人はコヨミの手を握って――
魔法使いの世界
パラレルワールドではなく、本編世界(時系列的に見ればインフィニティ発現以後、コヨミの肌がひび割れる以前であればどこでも入れられそう)が魔法の世界に作り変えられた世界。
その世界ではその世界での常識や歴史が存在していることになっているため、いわば「世界五分前仮説 」が現実になった世界と言えるでしょう。
(他ライダーとの関連を見出すなら「地球の記憶」を書き変えてしまった世界と言えるかも)
ただ、「この世界はかりそめの偽りだ」なんて言っても仕方ないので、晴人とコヨミは「別の世界から来た」という体で通しています。それが、魔法の国が「現実世界が変容した物」なのか「異世界トリップした」のか分かりづらくしているかも。
あと今回、パンフレットに載っている新ライダー鎧武は出ません。
まあ実際出しようがないしね。夜中にダンスチームが襲われるシーンを見た時はちょっとだけ期待したけれど。
前作に当たるフォーゼ劇場版「みんなで宇宙キターッ!」 も、結局インガが善側だったことを考えるとウィザードの参戦が逆ファインプレーになっててアレだったんですけど、ウィザードを介入させるタイミングがあそこしかなかったのも事実だし(その後のバトルはXVⅡ内部~月面で展開しているので、そこまでウィザードに出張らせるのは多分やりすぎ)。
本作に至っては晴人とコヨミ以外の世界が塗り替わり、元に戻った後は誰もそのことを覚えていなかったという話なので、鎧武の出番を用意する余地がないんですよね。
そんなわけでMOVIE大戦014(仮)はMOVIE大戦始まって以来、初となる主役ライダー同士が面識ない状態でスタートすることになりそうです。今までは夏映画の顔合わせでお互い味方だって認識出来てたからMOVIE大戦パートの合流がスムーズにいってたこと考えると大丈夫かこれ。
いやまあ、鎧武が10月スタートになるってことで、直前に顔合わせスペシャルが入る可能性もあるけれど、そこら辺あまり詳しく情報仕入れてないんで。
魔力流通システムと仮面ライダーメイジ
ほぼ全ての住民が魔法使いであり、誰もが魔法を使って生活している世界。子供がスプラッシュで悪戯してきたらコネクトでかーちゃんが飛んできて子供に謝らせるとか、画面の片隅で行われている魔力バドミントンとか小技の利いた演出があちこちで見られて面白い。
「TVシリーズの普通の日本」とは違う世界、というのは平成ライダー劇場版だと「555」のパラダイスロストや「カブト」のGOD SPEED LOVEで見られるわけですが、あちらの乾いたディストピア的感覚とは異なる「一見つつがなく進行している異世界の日常描写」が描かれたのはなかなか興味深いですね。
特に魔力流通システム用のハンドオーサーは現実にもあるICカードの支払いを思わせるモノになっているので、「子供が勝手に使っちゃいけないガジェットへの憧れ」的にはいいところを突いてるんじゃなかろうか。
しかしあくまで「ソーサラーが作った世界」だからか、輪島のおっちゃんが指輪屋として繁盛している(フレキシブル=エクステンドの指輪がある)にも関わらず、みんなゴツゴツ顔の白魔ドライバーメイジで使用指輪がコモンリング、っていう辺りは詰めが甘い(そして、この詰めの甘さも伏線のひとつと言える)。
というか、みんながみんなメイジだから序盤の対ケプリ&グール戦とか、誰が誰やら(笑) レギュラー陣はともかく、我も我もと参戦する一般市民メイジに関しては全然分からん……けれど変身直後は何か1ポーズ入れるのはお約束らしい(笑)
あとこの世界の住民は基本的に魔力を持っているのだけれど、絶望から立ち上がって魔法使いになったわけではない、というのもポイントか。
後々のことを考えるとソーサラーのクリエイトは「住民が魔力を有して社会システムを運営している」ことまでは改変できても「住民そのものをファントム化する」ことはできなかった……いや、台詞回し考えると全部趣味でしたでも成立するか(笑)
魔法的なガジェットはそれ以外だと城の隠し通路の扉が際立ってましたね。
「この世で一番美しい女性は誰?」と問われ、苦し紛れに(しかしキザに)「それは君さ……何度も言わせんなよ、お・ま・え」とかナチュラルな演技で出来るキャラっていうと、やっぱり晴人くらいだと思う(ウラタロスだと定番ギャグ過ぎてさほど驚きがない/笑)
その後で「結局本当の答えは何だったんだ」と呟くとかいい味出してます。
輪島のおっちゃんがメイジに変身してフレキシブル実演したのを見てお客さんが「あ、やっぱいらない」と帰って行くのに対して「これ(エクステンド)便利なのになー」とか呟いてる晴人がやっぱりいい味出してた(笑)
今回晴人やコヨミの小芝居が光ってます。この二人だけが元の世界の記憶と属性を引き継いでいる一方、他のレギュラーゲストがちゃんと「違う世界を生きている」存在感を醸し出していたのも印象的。
少年シイナ
「虹色の竜巻に母親を攫われ、面影堂に住み込んでいる指輪職人見習いの少年」……という役割を与えられてしまった少年。
誰もがほぼ確実に実用に足る魔力を持っているため、絶望するとファントムになってしまいやすく、それを抑えるためにアンダーワールドで内在ファントムを倒すと今度は魔力流通システムの恩恵を全く受けられず社会での居場所を失う……というのは「魔法使いの社会」の暗黒面、というよりソーサラーの不備のような気がする。
クリエイトの魔法でソーサラーがわざわざ現体制に疑いを持つ市民まで発生させてしまっているわけですが、早いところタナトスの器を完成させてしまいたかったから(最初の段階でタナトスの器のための生贄が集まっていることにしたかった)か、大規模な術を使ったゆえにほころびと反動が生じてしまったのか……
世界を作り変える大規模魔術であるがゆえに、それを突破する鍵が同時に生まれてしまう、というのは割とよくある展開ではある。大抵の場合主人公はそれのGETを目指して奔走するんだけど、ウィザードの場合は青い鳥ばりにすぐそばにいるし、「元に戻る鍵」じゃなくてあくまで「居場所を失った一人の少年」として接している構図か。
仁藤さんかっこいい
クリエイトの中心地にいなかったためか、世界の変化に巻き込まれてしまった仁藤。ただ「魔法への理解力があり、考古学に興味を持ち、人懐っこくて義理がたいけれど頑固でマイペース」というピンポイントな人材だったためか、「魔力流通システムに疑問を持ち独力でビーストドライバーを作り上げ自給自足をしている魔法研究者」という凄く便利な立ち位置に。
しかもこの世界ではファントムを喰わなくても生きていける上、スモールやドレスアップと言ったウィザードリング系魔法も使えるという優遇っぷり。まさかアンダーワールドでビーストキマイラをストライクフェーズにしたキックストライクなんてものまで見せてくれるとは思わなかったよ!
何にしろ仁藤がいなかったらタナトスの器とそれを用いたソーサラーの企みは分からなかったわけで、これもソーサラーの魔法のほころびというか、仁藤の変人度を計算に入れなかったミスというか……
博物館とタナトスの器で、何で骨被りしてんだよ!と思ったのもココだけの話。
悲運の逆ゲート
ゲートと言うのは要するに、鬱屈とともに魔力を貯め込んでしまい、心の支えを失うことで蓄積された魔力がファントムと言う形で実体化して内部から喰い破られてしまう危険性のある人……なわけで、個人的な問題が解消すると一緒に解消されたことになるか、あるいは念のため東京から離れてもらうわけですが。
逆にどれだけストレスを貯め込んでも魔力が集まった先から拡散してしまう、どうあがいてもゲートになれない人っていうのはいるようで、マヤ大王(に選ばれてしまった元の世界の一般市民マヤさん)はどうやらそう言う体質の人だったらしい。
それゆえに彼には、「魔法使いの世界で魔法を使えない出来損ないの王」という役割が与えられ、「魔力流通システムでタナトスの器に流れ込んだ魔力を逆流させ魔法使いを全滅させる計画」のトリガー役に選ばれてしまう。
彼もまたコモンリングを右手に嵌めているわけですが、魔法を発動させるフリだけして実際はオーマが術を発動していたわけで……
まあ国民大虐殺のためにオーマにあれこれお膳立てしてもらっておいて、装置が発動したら「何故お前は無事なんだ?」とか言っちゃう間抜けっぷりではあるものの、それだけ絶望に目が曇っていた(あるいはオーマ大臣も派手な自殺をほのめかす発言でもしていたか)ようでもあり。
そんな「ファントムどころかゲートにすらなりえない、TVシリーズだとまず巻き添え以外では平和に生きられるはずの男」から「彼を縛りつけていた指輪を外し」て、「俺が最後の希望だ」と告げる晴人の姿は、TVシリーズを見続けていると面白いです。
あくまでも晴人は「絶望に沈みそうな人々を救う希望たらんとする男」である、というのを、対照的な構図で描いたのは見事。
ただその分、シイナとマヤ大王は顔を合わせておくべき(エメラルド城にコヨミともども突入するとか)ではあったかなとも思う。何となく「対応」すれども「接触」には至らないところがちょいちょい見られるというか。
ラストの指輪とかシイナが作ってもよかった気はするんだけど、あくまで発展途上の指輪職人見習いでしかない彼に決戦兵器を作らせるのも無理があるんで、せめて「フラワーリング」で逆転の契機を作るという形で活かし直してる感があったし。
仮面ライダーソーサラー/オーマ大臣/ドレイクファントム
真夜中にあんなのが「ルパッチマジックタッチゴー♪」とか近付いてきたら、ネタ的にすら響くベルトボイスすら怖いわ! 真夜中に出会ったら間違いなく泣いて逃げるランキングだとドナルド・マクドナルドに匹敵する不気味さなんじゃないだろうか。
そして濃厚なまでに陣内孝則氏。人の顔の前で嫌味ったらしく拍手の真似をする演技をさせたら多分この人の右に出る者はいない。
話の中では「もしかしてマヤ大王がオーマ大臣では?」と晴人が推測するミスリード描写があるんですが、関係各方面で「陣内孝則仮面ライダーに」が報じられたおかげで空回っちゃってたのが残念。
……まあ陣内氏は出てきた瞬間に「こいつは怪しい!絶対に怪しい!」と思われる類の役者さんなので(同類項:竹中直人氏)、キャスティングの時点でもう観客騙すの半分諦められてる感はあったけれど(笑)
ともあれ黒幕である仮面ライダーソーサラーは、ファントム・ドレイクでもあった。どこでクリエイトリングなんか手に入れたんだ……というのは疑問と言えば疑問。
ただ、魔法使いであっても絶望して体内のファントムの暴走を許してしまうとやはりファントムになってしまうらしいので、もしかしたら笛木に見初められた魔法使いの一人が何らかの形で絶望し、ファントムに成り代わられた……という存在なのかも知れない。まさか指輪の数々は白魔からガメて。
なお「ドレイク」というのは「ドラゴン」のことなので、深読みすれば「晴人が辿ったかも知れない可能性のひとつ」を表しているのかも。芝居がかった振る舞いとか共通しているし。
TV本編のファントムたちは「ワイズマンの命令だから次のサバト開催のためにファントムを増やすお仕事しているだけでゲートがファントムになろうが本心ではぶっちゃけどうでもいい(ひと思いに殺せない分むしろストレス)」というモチベーションなので、実はドレイクってワイズマン以外で積極的に心の底からファントムを増やしたがっている唯一のファントムなんですよね。
自分の同胞が少数派なのが耐えられないから仲間を大量に増やそう、っていうのが動機かも知れないし、もしかしたら彼にも晴人にとってのコヨミ的な誰かがいたのかもと妄想すると楽しい。
(その結果、本編の幹部ファントムたちがあっさり爆死してたりする世界になっている辺り、既存のファントムへの仲間意識はむしろ低そうだけど)
今回の、一度に大量のファントムを生み出す(膨大な魔力を逆流させることで魔法使いをファントムにしてしまう)オーマの方法は、コヨミ(賢者の石に絡んだモノ)とクリエイトリングさえ調達してしまえばちょっとしたサバトよりも効率的にファントムを増やせるわけだし、ファントムの魔力=魔法使いの魔力だからどうにかしてドライバーとクリエイトリングさえ手に入れてしまえばメデューサあたりを臨時魔法使いに仕立てて再現可能なので、サバトの再開を望んでいる(とされる)ワイズマンがこの方法を狙わない理由はない。
オーマがこういう事件を起こしたということは、「サバトを再び開こうとするファントムを止める」という当初予想されていた形での最終決戦をやりつつ、ワイズマンの目的は別のところに着地することを暗示してもいる(ワイズマンが腹に一物二物あるのはもはや確定だから今更っちゃ今更だけど)わけか。
信じるということ
人は誰かに信じられることで居場所を得、疑われることで、裏切ることでたやすく居場所を失う。
晴人には、コヨミがいた。シイナには、輪島のおっちゃんが寝床をくれて、そして晴人が信じてくれた。
そんな居場所がなく、全てを壊そうとすらしたマヤ大王に、晴人は「俺が最後の希望だ」と告げる。
この映画はそういう「居場所」の物語なんですよね。信じる、受け入れる、心配する、背負い込む……たまにそれがマイナスの結果をもたらすこともあるし、信じたことで裏切られることもあるけれど、それでも独りじゃなければ居場所が出来て、居場所があれば生きていける。
平成二期に入ってからの夏映画は「最終回とは違った形の集大成」になる傾向があったわけですが、ウィザードもまさにそうだったわけです。
にしても
MOVIE大戦アルティメイタムではポワトリンのアンダーワールドでブーイングを背に戦い、今回はお尋ね者として追われて市民から石や光弾ぶつけられるって言うのは、「居場所」を際立たせるためとはいえ酷い目に遭ってるヒーローだなぁ(汗)
1万人の観客からブーイングされる中で戦った劇場版たっくんほどの人数じゃないにせよ、W・オーズ・フォーゼとそれなりにエールを受けて戦ってる第二期ライダーの中ではある意味際立ってるかも知れない。
戦い終わって
世界は魔法の夢を忘れる。シイナには母がいて、マヤには妻と生まれたばかりの子がいる。
関わった人たちがそれぞれの居場所で笑顔で過ごしている。
それを安堵の表情で見つめる晴人とコヨミは、互いを居場所として必要として、救われている。
ライダー、というか人と人は助け合い、というのを感じさせるエンドになったのは、「ライダー戦国時代」を謳う鎧武の前の一段落としては最適だったのかも……?
というわけでSHT夏映画でした!
ガブリンチョOFミュージック、何よりも興奮させてくれる完成度の映画でした。一つ前の席の親子連れとか映画始まる前はうるさかったんですけど、騒ぐのも忘れて見入ってましたからね。
色んな意味で「ザッツ戦隊映画!」という感じでした。TV本編と絡んでくるのが今から楽しみです。
ウィザードの方は正統派な「いい話」ですね。その中で現実の街並みを活かしつつも「魔法の国」を最小限の手間で最大限描いていたと思います。「市民みんなが仮面ライダーになれてしまう世界」ってIFそのものが好みだっていうのもありますが。
晴人とコヨミの二人に全振りしている分、二人を中心にニヤリとくる小技・小芝居も多く、二人の間に自然と流れる空気はちょっとニヤニヤします(ぉ)
本編だと色々不穏ですが、コヨミには是非とも生き残ってMOVIE大戦2014でまた晴人の隣で笑っていてほしいものです。