公開から一ヶ月ばかり経っていますがようやく観に行きました。パンフ画像なしですが、箇条書きで色々感想。
ネタバレありなので注意!
真相を知ってから振り返る事件像
犯人・宮台なつみの動機に関しては小説版で補完があるそうで(未読)。
2枚目と5枚目のゴッホが贋作であると強く信じた宮台なつみが、怪盗キッドに2枚の絵の回収を依頼するも、その音声から相手の素性を悟ったキッドは助手である寺井ちゃんの願い(ウメノさんに「芦屋のひまわり」を見せたい)を叶えるため、なつみの計画を妨害し、汚れ役を引き受けてでもどうにかして次郎吉の「日本に憧れたひまわり展」を開催させるよう奔走する……と言うのが話の背景。
まず音声メッセージでキッドに依頼を出せるルートがあるってことにびっくりだ。
なので順を追ってみると
前哨戦~第一ラウンド
キッド:次郎吉の会見に乱入し、あらかじめ汚れ役としての自分の存在をアピール。その上で工藤新一に変装(?)して次郎吉に同道する。
なつみ:買収した整備員を使って飛行機に爆弾を仕掛けさせ、羽田への着陸直前に貨物ハッチを爆破、「芦屋のひまわり(のゴッホ自身による模写と思われていたが実は本物)」を紛失させようとする。
キッド:飛行機から飛び出し「芦屋のひまわり」を保護。次郎吉が小五郎とコナンを呼んでいることを見越し、コナンに「芦屋のひまわり」を発見させる。
第二ラウンド
なつみ:次にキッドが「損保ジャパン日本興亜美術館所蔵の5枚目のひまわり」を狙っている、という予告状を出す。「損保ジャパン日本興亜美術館」という言葉のすごいタイアップ感。りんどう湖ファミリー牧場のようだ。
さらにキッドのメッセージカードを用意し「5枚目のひまわり」が既にすり替えられた可能性を示唆し、精密鑑定のために自分の手元に「5枚目のひまわり」を確保しようとする。
キッド:警備員に変装して「5枚目のひまわり」を奪取。「100億円で譲る」というメッセージを出し、100億円をポンと出せる次郎吉を介入させる。金には手をつけず「5枚目のひまわり」を返却することで「次郎吉がキッドから絵画を見事奪還した」という体裁をとり、それまで「ひまわり」の貸出を渋っていた各国の美術館が次郎吉のプロジェクトに協力的になるよう誘導する。
寺井ちゃんを「次郎吉のボディーガードの後藤」として潜入させて(具体的なタイミングは不明)、なつみの部屋のPCから計画書を入手。美術館に「キッドセット(いつもの衣装・ハンググライダー・ワイヤーガンなどを収納したアタッシェケース)」も仕込ませる。
第三ラウンド
なつみ:「日本に憧れたひまわり展」の警備システムの一環として、美術館の螺旋状の通路に監視カメラカモフラージュ用の大量のひまわりを植えることを提案。ひまわりにテレピン油をかけておくことで「2枚目」「5枚目」が焼失する段取りを整える。
また、美術館の配電盤を破壊することで停電を起こし、暗がりの中で「2枚目」と「5枚目」のひまわり退避システムに細工(額とポールが引っかかるように)を施す。
キッド:手荷物検査を潜り抜けるために再度「たまたま容姿が似ている工藤新一」として美術館に潜入し、メッセージカードをコナンに拾わせ「裏切り者」の存在を示唆。その後なつみの配電盤への細工を妨害しようとするが、ニューヨーク市警のチャーリー警部に追われて断念。
……って流れになりますね。
今回は「キッドがいつもと違う」と言うのが軸となっていて真犯人宮台なつみに関しては歴代映画でもダントツに扱いが軽いんですが、真相を念頭に置いて見返すと「この時の行動はここに繋がっていたのか」と分かりやすいと思います。
話の発端寺井ちゃんかよ!というのが一番意外だったんですけど、直前まで「まじっく快斗1412」をやっていたことを考えると「ほほうそう来たか(ニヤリ)」と受け止めるべきかなと。TVのプレイバック放送も「鉄狸改」をアピールするためのものと見せかけて「ボディーガードの後藤さん」を改めて観客に示しておくための物だったりして、周辺プロモーションとの連動も密だったりするのが面白い(この辺は昨年の「異次元の狙撃手」と原作が展開を合わせていたのを思い出させます)。
ミステリーと言うよりはアクションというか、キッドを観に行く映画ですね(笑)
その他諸々
今回の灰原さん
ウメノさんに「(コナンを)見つめているばかりでは後悔する」と忠告されて顔を赤くしてたりと、途中とラストシーンでフィーチャーされつつもクライマックスでは事実上出番なし(外でハラハラしてるだけ)。
ここだけだと物足りないものの、来年公開の映画で黒の組織がまた出張ってくる(公開時期辺りで金曜ロードショーが本作を流すでしょうし)ことを考えると、一年越しの壮大な伏線張りじゃないかと疑ってしまう(笑)
今回の蘭姉ちゃん
キッドが新一に変装して動き回っていることでやや振り回され気味ですが「天空の難破船」ほどフィーチャーされるわけではなく。
今回は「キッドの真意を追うコナン」「好敵手の奇妙な信頼関係」の辺りに焦点が当たっているので、ドラマへの絡みは控えめかな、と。
いや、美術館の崩落に巻き込まれて、コナンがキッドに蘭を託す所とか見所なんですけど当人気絶しちゃってるし……
むしろ「ひまわり退避システムにポールが引っかかって動かない」って所で苦戦するコナンとキッド(新一姿)の前に現れた時に速攻で壁破壊を頼まれていて、もはや破城槌みたいな扱いなんだけど(笑)
今回の園子
「キッドは殺人や人命を危機にさらすようなことはしない」と一途に信じるのはいいけれどまた京極さんがヤキモチやくぞー(笑)
オークション会場や記者会見、ワイドショーと次郎吉の隣に常に寄り添っていて、普段は軽いながらも「鈴木財閥の令嬢」としての度胸やテレビ慣れっぷりを感じさせるのがやたら印象的でした。
そう言えば姉の綾子が富沢家に嫁ぐから、母親の朋子が園子に婿を当てがって鈴木財閥を継がせようとしている……なんて話もあったし、灰原さんともども原作・TVと別ルートで話を進める腹積もりでもあるんだろうか(笑)
どこでもボール射出ベルト
任意に花火ボールの打ち分けが可能になっていて吹いた。結構な威力あるんだけど!
そう言えば今回、予告映像にあったスケボーの出番が本編ではなかったり、特に話に絡まないスイカ立体彫刻機が出て来たり、脚本修正ギリギリだったんだろうかと思ったりして。
ざっくりまとめ
脚本的にアラはあっても、勢いとビジュアルとキャラの魅力で補って余りある……という、色んな意味でいつものコナン映画です。
その上で、タイムサスペンス的な部分は長々と引っ張らずに(「沈黙の15分」や「絶海の探偵」はハラハラしつつも多少ダレもした感があるので)割とサクサク話を進めていくので、テンポよく楽しめました。というか犯人の真相絡みの部分は特にテンポ重視で取捨選択されている印象も……
最初の方に書いた通り、小説版では心情補完もあるそうなので、そちらも購入したいと思います。
ネタバレありなので注意!
真相を知ってから振り返る事件像
犯人・宮台なつみの動機に関しては小説版で補完があるそうで(未読)。
2枚目と5枚目のゴッホが贋作であると強く信じた宮台なつみが、怪盗キッドに2枚の絵の回収を依頼するも、その音声から相手の素性を悟ったキッドは助手である寺井ちゃんの願い(ウメノさんに「芦屋のひまわり」を見せたい)を叶えるため、なつみの計画を妨害し、汚れ役を引き受けてでもどうにかして次郎吉の「日本に憧れたひまわり展」を開催させるよう奔走する……と言うのが話の背景。
まず音声メッセージでキッドに依頼を出せるルートがあるってことにびっくりだ。
なので順を追ってみると
前哨戦~第一ラウンド
キッド:次郎吉の会見に乱入し、あらかじめ汚れ役としての自分の存在をアピール。その上で工藤新一に変装(?)して次郎吉に同道する。
なつみ:買収した整備員を使って飛行機に爆弾を仕掛けさせ、羽田への着陸直前に貨物ハッチを爆破、「芦屋のひまわり(のゴッホ自身による模写と思われていたが実は本物)」を紛失させようとする。
キッド:飛行機から飛び出し「芦屋のひまわり」を保護。次郎吉が小五郎とコナンを呼んでいることを見越し、コナンに「芦屋のひまわり」を発見させる。
第二ラウンド
なつみ:次にキッドが「損保ジャパン日本興亜美術館所蔵の5枚目のひまわり」を狙っている、という予告状を出す。
さらにキッドのメッセージカードを用意し「5枚目のひまわり」が既にすり替えられた可能性を示唆し、精密鑑定のために自分の手元に「5枚目のひまわり」を確保しようとする。
キッド:警備員に変装して「5枚目のひまわり」を奪取。「100億円で譲る」というメッセージを出し、100億円をポンと出せる次郎吉を介入させる。金には手をつけず「5枚目のひまわり」を返却することで「次郎吉がキッドから絵画を見事奪還した」という体裁をとり、それまで「ひまわり」の貸出を渋っていた各国の美術館が次郎吉のプロジェクトに協力的になるよう誘導する。
寺井ちゃんを「次郎吉のボディーガードの後藤」として潜入させて(具体的なタイミングは不明)、なつみの部屋のPCから計画書を入手。美術館に「キッドセット(いつもの衣装・ハンググライダー・ワイヤーガンなどを収納したアタッシェケース)」も仕込ませる。
第三ラウンド
なつみ:「日本に憧れたひまわり展」の警備システムの一環として、美術館の螺旋状の通路に監視カメラカモフラージュ用の大量のひまわりを植えることを提案。ひまわりにテレピン油をかけておくことで「2枚目」「5枚目」が焼失する段取りを整える。
また、美術館の配電盤を破壊することで停電を起こし、暗がりの中で「2枚目」と「5枚目」のひまわり退避システムに細工(額とポールが引っかかるように)を施す。
キッド:手荷物検査を潜り抜けるために再度「たまたま容姿が似ている工藤新一」として美術館に潜入し、メッセージカードをコナンに拾わせ「裏切り者」の存在を示唆。その後なつみの配電盤への細工を妨害しようとするが、ニューヨーク市警のチャーリー警部に追われて断念。
……って流れになりますね。
今回は「キッドがいつもと違う」と言うのが軸となっていて真犯人宮台なつみに関しては歴代映画でもダントツに扱いが軽いんですが、真相を念頭に置いて見返すと「この時の行動はここに繋がっていたのか」と分かりやすいと思います。
話の発端寺井ちゃんかよ!というのが一番意外だったんですけど、直前まで「まじっく快斗1412」をやっていたことを考えると「ほほうそう来たか(ニヤリ)」と受け止めるべきかなと。TVのプレイバック放送も「鉄狸改」をアピールするためのものと見せかけて「ボディーガードの後藤さん」を改めて観客に示しておくための物だったりして、周辺プロモーションとの連動も密だったりするのが面白い(この辺は昨年の「異次元の狙撃手」と原作が展開を合わせていたのを思い出させます)。
ミステリーと言うよりはアクションというか、キッドを観に行く映画ですね(笑)
その他諸々
今回の灰原さん
ウメノさんに「(コナンを)見つめているばかりでは後悔する」と忠告されて顔を赤くしてたりと、途中とラストシーンでフィーチャーされつつもクライマックスでは事実上出番なし(外でハラハラしてるだけ)。
ここだけだと物足りないものの、来年公開の映画で黒の組織がまた出張ってくる(公開時期辺りで金曜ロードショーが本作を流すでしょうし)ことを考えると、一年越しの壮大な伏線張りじゃないかと疑ってしまう(笑)
今回の蘭姉ちゃん
キッドが新一に変装して動き回っていることでやや振り回され気味ですが「天空の難破船」ほどフィーチャーされるわけではなく。
今回は「キッドの真意を追うコナン」「好敵手の奇妙な信頼関係」の辺りに焦点が当たっているので、ドラマへの絡みは控えめかな、と。
いや、美術館の崩落に巻き込まれて、コナンがキッドに蘭を託す所とか見所なんですけど当人気絶しちゃってるし……
むしろ「ひまわり退避システムにポールが引っかかって動かない」って所で苦戦するコナンとキッド(新一姿)の前に現れた時に速攻で壁破壊を頼まれていて、もはや破城槌みたいな扱いなんだけど(笑)
今回の園子
「キッドは殺人や人命を危機にさらすようなことはしない」と一途に信じるのはいいけれどまた京極さんがヤキモチやくぞー(笑)
オークション会場や記者会見、ワイドショーと次郎吉の隣に常に寄り添っていて、普段は軽いながらも「鈴木財閥の令嬢」としての度胸やテレビ慣れっぷりを感じさせるのがやたら印象的でした。
そう言えば姉の綾子が富沢家に嫁ぐから、母親の朋子が園子に婿を当てがって鈴木財閥を継がせようとしている……なんて話もあったし、灰原さんともども原作・TVと別ルートで話を進める腹積もりでもあるんだろうか(笑)
どこでもボール射出ベルト
任意に花火ボールの打ち分けが可能になっていて吹いた。結構な威力あるんだけど!
そう言えば今回、予告映像にあったスケボーの出番が本編ではなかったり、特に話に絡まないスイカ立体彫刻機が出て来たり、脚本修正ギリギリだったんだろうかと思ったりして。
ざっくりまとめ
脚本的にアラはあっても、勢いとビジュアルとキャラの魅力で補って余りある……という、色んな意味でいつものコナン映画です。
その上で、タイムサスペンス的な部分は長々と引っ張らずに(「沈黙の15分」や「絶海の探偵」はハラハラしつつも多少ダレもした感があるので)割とサクサク話を進めていくので、テンポよく楽しめました。というか犯人の真相絡みの部分は特にテンポ重視で取捨選択されている印象も……
最初の方に書いた通り、小説版では心情補完もあるそうなので、そちらも購入したいと思います。